小学校生活に向かう日々~幼小接続・連携について考える~
2月に入り、まだまだ寒い毎日ですが、3学期も早半分が過ぎました。
もうすぐ3月。進学・進級が近づく時期・季節となります。
幼稚園を歩いていると・・・
年長の子どもたちが、3月の卒園式に向けて、「自分たちの卒園式をどのように臨むか」ということを考えたり、
ホールで実際に流れを経験したりする姿に出合う時期になりました。
現在、国では「幼保小の架け橋プログラム」をはじめ、幼保小接続・連携において、様々な議論、取り組みがなされています。
年長後半(終盤)の時期を、特に「アプローチ期」という期で考えることができます。
幼児教育と小学校教育の違いは様々に存在すると言われています。(以下資料参照)
これまで、幼児教育では、遊びや生活の中で子どもたちが様々な経験を通して、その中で学んでいます。
これは例えば、「この時間では、~という技術を身に着ける」というようなことがねらい(到達目標)なのではなく、
「~というねらいをもって、その方向性をねらいとするが、遊びや生活の中で結果として、ねらいにつながることが学び育つ」という、方向的な目標(方向目標)が幼児教育の考え方になります。
しかし、このアプローチ期は、小学校教育とのいわば「移行期」となり、幼稚園でも、小学校教育の在り方を踏まえたうえで、子どもたちの日々の生活、そして活動を考え、過ごしています。
この移行期について、関連することとして、
幼稚園教育要領(文部科学省,平成30年3月)では、小学校以降の生活や学習の基盤の育成に関して、
「小学校への入学が近づく幼稚園修了の時期には、皆と一緒に教師の話を聞いたり、行動したり、きまりを守ったりすることができるように指導を重ねていくことも大切である。さらに、共に協力して目標を目指すということにおいては、幼児期の教育から見られるものであり、小学校教育へとつながっていくものであることから、幼稚園生活の中で協同して遊ぶ経験を重ねることも大切である。」
と書かれています。
つまり、この移行期である、アプローチ期は、幼稚園でも、小学校教育の在り方にも考えを及ばせたうえで、子どもたちの日々の生活、そして活動を考え、過ごすことが求められます。
そこで当園では、上記資料にもあるように、
「小学校生活に対する期待を持つ」ということを挙げています。
子どもたちは、きょうだいや、近くの小学生の子どもたちから、小学校に関する情報を見聞きしていることが一定数あります。
その経験を踏まえて、小学校へのあこがれや期待、また時には不安や心配な思いを持つことがあります。
幼稚園では、アプローチ期に徐々に、小学校の生活をイメージする活動を行っています。
上記の写真は「連絡帳体験」の一コマです。
学校により様式やフォームは異なるかもしれませんが、このように、翌日の準備を自分で捉え、メモをし、家で用意するという流れが生活の中にあることを経験しています。
また、この写真は、小学校の教室や学習【授業】など、生活の様子の写真が紹介されている手作りファイルになります。
このファイルを子どもたちはめくりながら、「こんな部屋で勉強するんだ」、「授業ってこう進むんだ」ということを知ります。
このように、
「見慣れたこと」
「経験したこと」
「予め聞いていたこと」
などを子どもたちが持つことは、接続期を考える中で大切な要素と考えます。
他にも大切な視点として、「みんな(集団)の中の私としてどう向き合うか・行動するか」という視点も、
小学校になるにあたり、考える場面が増えることとなります。
また同時に、「やらないといけないことと向き合う時間」も増える傾向にあります。
このように、今までは「学びの芽生え」と言われる幼児期から、「自覚的な学び」を行う小学校進学にあたり、
「何を目標とするか」
「いま、何をすべきなのか」
「自分はこのあとどのように行動すればよいか」
なども、アプローチ期には幼稚園の取り組みの中で徐々に経験する機会が増えています。
現在、日本の教育では、3つの資質・能力の重要性がいわれています。(下記スライド参照)
上記の通り、3つの資質・能力の重要性が言われていますが、今の教育の中では、
「学んだことをその時間【授業】の中で使えるだけではなく、これまで習ったこと、今習ったことなどを踏まえて、
経験や知識をつなぎ合わせ、応用できる力が育っていくこと」が重要と言われています。
これは、「言われたことを正確にこなす」ことだけ行っていては絶対に育っていかない力になります。
幼児期に様々な遊びや生活の中で、経験した学び・育ちを活かして、小学校の授業や生活で、力強く自分の「知りたい」、「できるようになりたい」という気持ちや思いがより広く、大きくなることが大切です。
現在国で議論されている、「幼保小架け橋プログラム」ですが、これは早期教育を行うことが大切、小学校までに~の力をつけないといけないというものではありません。
幼児期に遊びや生活の中で育んだ力を小学校生活に活かせたり、
困ったことや助けてほしいことがあれば、自ら援助を要請、求めることができたりするという、
子ども自らが進んで行動できる姿を、アプローチ期で支えていきたいと思います。